フラッシュバック：1998年天然痘「戦争ゲーム」　Rhoda Wilson

Flashback: 1998 Smallpox “War Games”　By Rhoda Wilson on June 6, 2022 • ( 5 Comments )

https://expose-news.com/2022/06/06/flashback-1998-smallpox-war-games/

1998年にThe Guardianに掲載された記事によると、その年の3月に米国連邦政府機関が秘密裏に開催した会議では、治療法のないハイブリッド天然痘ウイルスでテロリストが米国を攻撃した場合に何が起こるかを演じたとのことである。

この1998年の記事は、パンデミックのシナリオとその関係者に関して、過去2年間に私たちが学んだことと不気味なほど似ているため、私たちの注意を引いた。

(Related: Monkeypox: Scenarios, Germ Games and Vaccines and Two Studies now suggest the circulating Monkeypox Virus has been manipulated in a Biolab)

1998年の演習は、その週にクリントン大統領が承認することになった抜本的な計画の必要性を強調するものであった。クリントンは、病原体戦争への関心を本で深めていたが、その中でも特に警戒を強めていた本があった。リチャード・プレストン[Richard Preston]による『コブラ・イベント』である。

そのGuardianの記事によれば、遺伝子工学の専門家であるウィリアム・ハセルタイン[William Haseltine]が、訓練を受けた分子ウイルス学者であれば、実験室でこのようなウイルスを作ることができると言っているとのことである。

1998年は、ビル・クリントン[Bill Clinton]にとって厄介な年であった。1998年1月、大統領の推薦があったとされるモニカ・ルインスキー[Monica Lewinsky]は、彼との性的関係を否定する宣誓供述書を提出した。数週間後、ルインスキーはFBI捜査官と連邦検事によってホテルの一室に連行され、尋問を受け、検察に協力すれば免責されると提案された。その数日後、このニュースが流れ、クリントンは「私はあの女性、ルインスキーと性的関係を持っていない」と、公に疑惑を否定した。

イラクでは問題が勃発していた。1998年の一般教書演説でクリントンは、イラクの独裁者サダム・フセイン[Saddam Hussein]が化学、生物、核兵器の兵器を製造していると議会に警告した。 政権はアルカイダと戦っていた。  1998年8月、クリントンはアフガニスタンとスーダンの標的への巡航ミサイル攻撃を命じた。スーダンのアル・シファ[Al-Shifa]製薬工場は、オサマ・ビンラディン[Osama bin Laden]の化学兵器製造に協力していた疑いが持たれていたため、これを標的とした。

プレストンは、現在もウイルス発生に関する本を執筆している。2019年に出版された最新作では、2013年と2014年のエボラ出血熱の大発生は、さらなる深刻な大発生の前兆であり、どの国、どの大陸においても、これまで想像もしなかったようなウイルスが出現することを明らかにしている。

ハセルタインは最近、現在のポックスの流行について記事を書いている。ここでは、ハセルタインの最近の記事を取り上げないが、現在と当時の彼のスタンスを知るために、読んでみるのも面白いかもしれない。

「ポックスウイルスが復活したのは、驚くべきことではない」と、ハセルタインは先週書いている。「気候変動とグローバル化の進展は、ウイルスの突然変異を可能にし、前例のない速度で広がっている・・・新興ポックスウイルス株をターゲットに天然痘のワクチン接種を復活させる。」

戦争ゲームは、病原体防御をあらわにする

Clipped from The Guardian, 28 April 1998

先月のある日、十数か所の米国連邦政府機関から40人の関係者がワシントンに密かに集まり、テロリストが新型の破壊的な病原体兵器で米国を攻撃した場合にどうなるかを演じた。その結果は心もとないものであった。

シナリオでは、テロリストがメキシコとアメリカの国境にウイルスをばらまいたとする。しかし、そのウイルスは治療法のないハイブリッドであることが判明した。

シナリオの展開に伴い、州や自治体の役人はパニックに陥った住民にあっという間に圧倒され、数千人が死亡し、物流、法的権限、医療に大きなギャップがあることが判明した。

この演習の結果は、参加者の何人かを驚かせたが、米国は近年、時間、資金、労力の面で膨大な投資をしたにもかかわらず、生物兵器に対応する準備がまだできていないのではないか、という他の人々の長年の疑問を明らかにするものであった。また、この演習は、クリントン大統領が今週承認すると思われる抜本的な計画の必要性を強調するものであったと、関係者は語った。

クリントンの病原体戦争に対する興味は、本によって深まったと側近は言う。リチャード・プレストンによる『コブラ・イベント』と題する小説で、遺伝子操作されたウイルスでニューヨークを攻撃する単独テロリストを描いたものに警鐘を鳴らし、情報専門家にその信憑性を評価するように指示したのである。このようなハイテクの脅威の信憑性については、専門家の間でも意見が分かれる傾向がある。しかし、その危険性が高まり、このような攻撃が成功すれば壊滅的な打撃を受ける可能性があるという点では、ほとんどの人が同意している。

1995年、イラクが大規模な生物兵器庫を建設し、1991年の湾岸戦争で使用する準備をしていたことを認めたため、病原体戦争に対する不安が高まった。会計検査院は12月の報告書で、テロリストの脅威に対抗するための努力に重大な協調性が欠けていると政府を批判している。米国政府は、少なくともその失敗の一部を認めている。省庁間調査の草案によると、政府のテロ対策プログラムは、情報共有の欠如と、個々のテロリストやグループが何を企んでいるのかについての情報不足に悩まされているという。

ホワイトハウスがシナリオの検討を依頼した遺伝子工学の専門家であるウィリアム・ハセルタインは、このシナリオは現実的であると述べた。「このようなウイルスを作ることは今日でも可能だ」と、彼は言った。「訓練を受けた分子ウイルス学者であれば、本当に良い研究所で作ることができる。」

政府関係者によれば、このシナリオは、システムに負担をかけ、弱点を明らかにするために、かなりの災害を引き起こすことを意図しているとのことである。

このような緊急事態では、病院は抗生物質やワクチンの供給をすぐに使い果たしてしまうという欠点があると当局者は指摘した。ある参加者は、「訓練を受け、ワクチン接種を受けた医療スタッフを感染地域に送り込むのは非常に困難だ」と語った。

ワシントンは今後、ワクチンや抗生物質、解毒剤の国家備蓄を行うかもしれない。

天然痘のシナリオ

1998年に秘密裏に行われた天然痘の「戦争ゲーム」の詳細や、そのシナリオを検討したヘセルタインの詳細については、ネット上では見つけることができなかった。 しかし、1999年8月、ジョンズ・ホプキンス公衆衛生大学院のタラ・オトゥール[Tara O’Toole]が天然痘攻撃のシナリオを書いた。 彼女はこう始めた。

天然痘ウイルスは、バイオテロリストが使用する可能性のある最も危険な生物の一つであるが、広く入手できるものではない。大量破壊兵器の国際的な闇取引が、おそらくこのウイルスを入手する唯一の手段である。したがって、天然痘を調達して配備することができるのは、ならず者国家の資源に支えられたテロリストだけである。

以下のシナリオは、思考と対話を喚起することを意図している。

米国疾病対策予防センター：天然痘：攻撃シナリオ、1999年8月

シナリオの結論としてオトゥールは次のように指摘している：

国家の主要な収入源である観光業は行き詰っている。仕入先や顧客がその地域を訪れようとしないため、市内の多くの中小企業が破綻している。劇場やスポーツイベントの入場者数は著しく減少している。いくつかの州では、公立学校が1ヶ月早く下校しているが、これは伝染病を恐れた親が子供を家に留め、教師が出勤を拒否していることが一因である。全米で、天然痘感染を恐れて陪審員や公的会合への出席を拒否する人が出ている。職員がワクチン接種を受けていない病院やHMO施設では、医療従事者が抗議を行い、中には職場から立ち去る者もいる。

天然痘は世界各地で流行し、かつての風土病の様相を呈している。ワクチンもないため、隔離するしかなく、蔓延を食い止めることはできない。年末には14カ国で天然痘の風土病が再確立される。世界保健総会で天然痘撲滅キャンペーンの再実施に関する討議が予定される。

米国疾病対策予防センター：天然痘：攻撃シナリオ、1999年8月

恐怖を増幅させるリチャード・プレストン

1999年8月、Health Law & Policy Instituteは次のような記事を発表した：

様々なテロ組織、あるいは政府組織による天然痘ウイルスの意図的流出の危険性が高まっていることを示唆する研究が急速に進んでいる。最近の文献検索で、過去2年間に関連する問題についての出版物が200以上あることがわかった。この話題は、著書『ホットゾーン』でエボラウイルスを「普及」させた著者、リチャード・プレストンの7月の記事(The New Yorker, July 12, 1999, pp. 44-61)でより鮮明なものとなっている。[含まれているリンクは私たちによる]

6月、アトランタで専門家が集まり、バイオテロによる脅威の可能性を評価した。その結果、全会一致で天然痘が米国にとって最大の脅威であり、次いで炭疽菌であると決定された。

天然痘がテロの武器として使われる危険性が高まっていることから、ウイルスを研究用に保存し、新しいワクチンと抗ウイルス剤の開発を計画的に進める必要性が確認された。

Smallpox and Bioterrorism: A Growing Threat（天然痘とバイオテロリズム：拡大する脅威）, Health Law & Policy Institute, 3 August 1999